Q.肛門のしまりが悪く感じられますが、何か悪い病気でしょうか?
A.
その場合は、①肛門括約筋の筋力が正常の時と、②実際に肛門括約筋の筋力が低下している時があります。
①は内痔核(イボジ)が大きくなって、立っていても肛門外に脱出してくる時や、裂肛(キレジ)に伴う肛門ポリープが容易に肛門外に脱出してくる時にしまりが悪く感じることがあります。
②は、出産(難産、多産)で肛門の神経に負担がかかったり、慢性便秘や高齢に伴う肛門機能の低下や痔の手術、注射治療を受けて肛門括約筋の損傷があるなどの時にみられます。
症状としてオナラが出やすい、下痢便が漏れる、さらに普通の便も漏れるなど日常生活に支障を来たすようになります。
治療法ですが、確実に肛門のしまりを改善させる方法はまだ日本でも海外でもありません。
肛門のしまりを悪くさせないために便秘で力まない、草取りや家庭菜園などで長い時間しゃがんだ姿勢をとらない、できるだけ肛門を締める体操をすることが大事です。
なお、肛門のしまりが悪くて肛門から直腸が脱出してくる直腸脱という病気もあります。
軽傷だと排便時に力んで直腸粘膜から少し出てくるぐらいから、重症となると立っているだけで直腸が手拳大ぐらいに脱出してきます。
この場合、直腸の脱出を抑える手術は種々ありますが、肛門のしまりを確実に改善させる手術はまだありません。
なお、肛門のしまり具合は当院で検査できます。